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美しく嘘をつくカメラ

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「空気まで写す」とか
「美しく嘘をつく」とか
そんな形容をされるツァイスレンズを一時期愛用していました。

カメラはCONTAXのG1。
コンパクトなレンズ交換式カメラ。一眼レフではなくオートフォーカスのレンジファインダーというマニアックな仕様でした。
オートフォーカスがイマイチ信用できない上に、ファインダーを覗いてもどこにピントがあっているのか確認できないという致命的な欠点をもつカメラだったけれども、僕の被写体は無限遠の風景ばかりだし、広角レンズでパンフォーカスで撮ることがほとんどだったから、僕にとってはほとんど欠点のないカメラでした。
後に、後継機のG2が発売されましたが、デザインは圧倒的にG1の方が上です。
この手のモノは、初期型にコンセプトが凝縮されいて、後継機って、機能や仕様は改良されていくけれど、なんとなく失うものの方が大きい気がします。

当時いわゆるカメラ好きの人たちの多くは、オートフォーカス一眼レフカメラを使っていたと思うのですが、僕は大きくて重たいオートフォーカス一眼レフカメラは全然買う気がしなかったです。
このカメラは本体もレンズもとてもコンパクトで、山に持っていくには最適な一台だったと思います。しかもレンズ性能は一眼レフ用のズームレンズなんかと比較にならないくらい優れていました。

使っていたレンズは、
ビオゴン21mm
ビオゴン28mm
プラナー35mm
プラナー45mm
ゾナー90mm
全て単焦点レンズです。
どのレンズも評判に違わず素晴らしい写りで、このカメラで撮影した数千枚のポジフィルムは一生の宝です。
よく持ち歩いていたのはビオゴン21mmとプラナー45mm。90%くらいはこの2本で撮影していました。あとはゾナー90mm。
21mmは今まで僕が出会った中で最高のレンズ。90度の範囲を写すこのレンズは、自分の風景の見方にマッチしたのだと思う。このレンズを使って、「ああ、自分はこんな風に景色を眺めていたのか」と知りました。このレンズで撮る空は格別でした。何だか、不思議と「絵になる。」っていう感覚。
45mmも最高の標準レンズ。こんなにいいレンズがこんなに安くていいのか?って思うくらいいいレンズ。本当に空気まで写すんですよ。こいつは。
90mmは良くも悪くもカリカリの緻密感ですね。写真を見れば、このレンズで撮ったことが一発で分かる、というくらいの・・・。
28mmという画角はなぜか苦手で、いつも21mmを持ち出すようになってしまい、28mmはあまり出番がなかったです。あと、35mmも45mmが良すぎて、あまり出番がなかった。
もったいないですけど。

レンズに、ビオゴンとかプラナーとか名前がついているのがそそりますね。なんかこう、1本1本に個性を感じて愛せるというか。
今でも大切に保管しています。

実はホロゴン16mmも隠し持っていたりして。一時期モニター価格(という名目の在庫処分だと思うけど、)で激安だったので買ってしまった。使いこなせなかったけど。

先日、日曜の夜やってる「tomorrow」というドラマを見ていたら、竹野内豊がこのカメラを使っていて、「おぉ」と思いました。あえてG2じゃないところが良い。

今は我慢をして大きくて重たいデジタル一眼レフカメラ&レンズを使っているけど、
デジカメでも、一眼レフじゃなくていいから、このくらいのサイズのレンズ交換式のものが発売されればいいのにと思い続けています。

先日、久しぶりに取り出して磨いていたら、また使ってみたくなってきました。
しかもフィルム入ってるし・・・。最後に撮ったの何だっけ?
デジタルの便利さに慣れてしまった今となっては、もうフィルムに戻るのは難しいかも知れない。
何より変わってしまったのはリズム。
デジタルカメラとフィルムカメラとでは、撮影のリズムがまったく異なります。
もう、以前のように、一枚一枚じっくり考えて撮るような撮り方はできないかもしれないな。と思って、カメラの技術が進歩した分だけ、自分の技術は退化したのかと考えさせられました。
また、気が向いたら持ち出してみよう、このカメラを。
最後のフィルムに何が写っているのかも気になることだし。
by snowlight48 | 2008-07-31 00:00 | カメラ | Trackback | Comments(0)
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